自動運転に関する研究

近年の自動車利用において,交通の利便性と安全の両立は重要な課題です. その台数や利用者の増加に伴って,人為的過失によって引き起こされる渋滞の頻発や環境負荷の増大, 交通事故件数の増加が懸念されています. それらを減少させるべく運転支援システムの開発が行われてきましたが, 技術が進歩したことで『自動運転の実現』という次のステップに移ろうとしています. ただし,自動車の力学的挙動には数学的に計算が難しい不確かさがあります. そこで,より安定した自動運転を実現するためにはこの不確かさを解決する必要があります. 本研究では,この不確かさに対処するために,実機の挙動を測定することで自動車の挙動を正確にモデル化することを試みています.

学習には力学系学習木(DLT)を用いることとします.

以下に実際に学習木が予測した挙動と実測値のグラフを示します.

上記で開発したモデル化手法を用いて以下の研究も行っています.

1.ドリフト制御と考慮した動力学のモデル


事前にドリフト状態を学習したDLTを用いて, ドリフト状態での車両の進行経路を推定することができるかを検証しました. 今回は,目標地点に移動するにはどのタイミングでトルク0にすれば良いかを確認しました.

ドリフト状態での予測値と実測値のグラフを以下に示します. 以下の図は上側がシミュレーション画面,下側が各地点での予測挙動の推移となっています. 下側の目標点に向かうよう制御できていることがわかります. これによってドリフト状態でも車体の挙動が予測できるようになりました.

2.ドリフト制御と考慮した動力学のモデル


これは車体が障害物に乗り上げる際, 乗り上げ時の挙動を予測してブレーキをかけるシステムになっています.

左のグラフがブレーキシステム無しでの実測値です.

右のグラフがブレーキシステム有りでの実測値です.

右のグラフについて, 赤い予測線が0.03[rad]を超えることを予測したのでブレーキを掛けます. また緑の予測線も同じように0.03[rad]を超えることを予測したのでブレーキを掛けました

これによりブレーキシステムが無かったものと比べ 車体のpitch方向の揺れを抑えることができるようになりました.

3.ドリフト・グリップ走行の自動識別を用いた学習精度の向上


研究1ではDLTに学習させるデータにドリフト走行以外の走行状態も含まれていました. そこで,更なる学習・予測精度の向上を図るために,ドリフト・グリップ走行の自動識別を用いて両状態を分割学習させました.ドリフト走行のみを学習させた DLTの精度を検証するため,一括で学習させたDLTと比較しました.

<経路予測において2種類のDLTがそれぞれ予測した値と実測値>

上三つのグラフがドリフト走行のみ学習させたDLTの予測, 下三つのグラフがドリフト・グリップの区別なく学習させたDLTの予測です .破線が予測値,実線が実測値です.X軸位置,Y軸位置,角度すべての予測において, ドリフトのみ学習させた方が一括学習よりも精度が高いという結果になりました.したがって,分割学習を行ったほうが一括学習させるよりも効果的であるということがわかりました.